父親の浮気と心の傷
うちの父親は典型的な浮気男しかも隠すことなく大っぴらにするタイプの男だった。
聞いた話しによれば結婚した3日目から既に帰宅せずに女の家に行っていたらしい。
女が居たのに何故に母親と結婚したのか本当に意味不明であり、わたしからしたら妥協婚をし身勝手に産み落とされて大迷惑である。
そんな父親の血肉がわたしの中に流れていると思うと胸が痛くなるばかりだった。
それに対して母親の方は、浮気されてても何にも思わない女。母親は指定難病の病気を患っていて父親の浮気はどうでもよくて、自分の病気を心配しない部分に対してのみキレてる女だった。
指定難病を抱えていながら結婚をして子供を産んだら我が子にその難病が遺伝したらいけないと考えられないような女。それがわたしの母親だ。
そんな母親の血肉もわたしの中に流れていると思うとまたいたたまれない胸の痛みに襲われるのだった。
今も親族両親含めた細胞で出来ている体を脱ぐことが出来ない苦しみがまだ残っている。
ある日、父親が懐石料理に行くと言って私と母親を連れ出したのである。懐石料理だからなのか行く迄の間は両親の喧嘩はなかったので、私は蟹を食べる気満々になっていた。
すると寄るところがあると父親が言い出した。車は居酒屋が沢山並んでいる路地に入っていく。何処に行くのだろうと思ってたら一軒のスナックの店の前で車を止めたのだ。
降りて中に入れと言われ4人テーブルに案内されて父親が居なくなった。少ししたらその店の奥から女と父親と1匹の犬を連れて現れて、席の前まできて浮気女を私と母親に紹介してきたのだ。こちらが妻と娘で、俺といるこの人はいつも遊んでいる女性だと紹介してきた。そしてその浮気女も一緒に懐石料理に行くからと言って一緒に懐石料理屋に向かったのだ。
わたしは、家族で蟹を食べれると思っていたのに父親の女が入ったせいで、浮気女が食べたいものが優先されて、私と母親は2人が手をつけない部分を食べる。
浮気女は鯛のお刺身や鮑と高級なものを頼む。父親はいくらでも好きなものを食べろと大盤振る舞い。喜ぶ浮気女と奢ってやっていることに酔う父親。
わたしと母親は2人のイチャラブの世界を映画でもみているかのように食べながら眺める。
普通の母親なら、お父さん何をかんがえてるんだとキレて子供を守るはずなのにそんなこともしない母親。
私はまたこの時もこんな両親でなければと一緒に居ながら心は悲しみと寂しさに襲われるのだった。
そしてまた、ある時、父親は浮気女と遊んでいつもより早く帰ってきた日があった。珍しいこともあるもんだと思っていたら、大きな紙袋を手にお土産持ってきたぞーと得意気になって家の中に入ってきた。私は、普段から何も買って貰えてなかったので何何と近寄っていった。するとカラフルな女の服が出てくる。わたしは洋服を買って貰ったことがなかったのでそれを手にして体に当てちょっと喜んだ。そしたら俺の女の服を貰ってきたから着ろと私と母親に彼女の服を渡してきたのだ。その洋服はボディコンと言われるミニスカ露出のセクシーワンピースだったのだ。
そしてその洋服を出している時に祖母が居間に入ってきて、、、案の定、とんでもない罵倒と大喧嘩になったのだ。服を持っていた私にも祖母は罵倒してきて頭を叩かれて最悪だった。
父親VS祖母と母親、言い合いが続き物が空中を舞うやら、父親は祖母に噛まれそうになり自室に引っ込んでなんとか静かになった。彼女の服は居間にほっらたらかし。
1コだけ可愛い服があったので母親と祖母が居ない隙に取って隠した。父親の浮気女の服でさえも欲しくて隠したわたしはそれだけ両親からの愛の無さに飢えていたのだった。
父親はある日曜日に珍しく家に居た日があった。その日にわたしは学校のリュックを近所の人からお下がりで貰ったので父親に見て貰おうと部屋に行ってドアを開けたらなんとAVを見ていたのだ。
わたしは、おとうさ、、まで言って持っていたリュックを床に落とした。そして父親がその音で振り返り目と目が合った。
その瞬間、全てがスローモーションになり体が硬直したのだ。頭の中は大パニックになりリュックを引きずりドアを閉めてロボット歩きで居間に戻った。
誰にも言えない。言ったら争いが起きるので自分の心の中に閉じ込めた。
案の定、父親はバカ過ぎる男なのでAVも本棚に普通にずらっと並べて出している。仕事に行ってる時にあの日に見たものは一体何だと思いそのビデオが何本あるのか定期的に部屋に入って数えるようになるのだった。増えたり減ったりしている。熟女者が多い。これは浮気女との営みの想像を膨らます為の大人の道具だと小学生なのにも関わらず気づいたのである。
父親が益々気色悪い。それからわたしは父親を遠ざけるようになっていった。
そのAV事件があった後に今度は父親が風俗に通うのだった。そして事件が起きた。風俗で女から性病を移されて帰ってきたのだ。
その日の朝に起きてきた父親はパンツが血だらけになっていて、飛んで部屋から走ってきて母親と私のところに駆け寄り血だらけになったと又を見せてくるのだった。風俗に行って病気を貰ったと堂々と言って。母親はそれを見てザマみろと言ってとても嬉しそうだった。
わたしはその光景をただ突っ立って見ているのだった。
そんな両親を見ながらわたしはこう考えるようになった。これは夢だ。本当のお父さんとお母さんはきっと他にいて大人になったら迎えにきてくれるんだ。そう強く思い込んだ。この思い込みが大人になっても深層に練り込み取れなくなることも知らずに、子供時代を生きる為に心を守る防衛だったのだ。
本当の親が他に居ると思わなければ生きていけないくらい苦しい現実を生きていたのだった。
MeguのYouth&Health研究所